金融機関から受けた融資に連帯保証を付帯する「経営者保証」には、経営への規律付けや資金調達の円滑化に寄与する面がある一方で、経営者による思い切った事業展開や早期の事業再生、円滑な事業承継を妨げる要因になっていることが以前より指摘されていました。これらの課題の解決策として、全国銀行協会と日本商工会議所が策定したのが「経営者保証に関するガイドライン」です。
また経営者保証が後継者候補確保の障害となっていることを踏まえ、政府は「事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策」(令和元年5月)を実施しています。後継者にとって、先代が作った借入を引き継ぐのは、苦痛なのです。
ただし、ここがとても重要なのですが、このガイドラインは原則ではありません。あくまで準則であり、「中小企業、経営者、銀行共通の自主的なルール」と位置付けられています。そのために法的な拘束力は当然なく、関係者が自発的に尊重し、遵守することが期待されているという表現が妥当になるでしょう。
つまり、経営者保証を解除するかどうかの最終的な判断は、銀行に委ねられており、そのため、このガイドラインの考えが銀行に対して十分に浸透しているとは言い難いのです。
しかしながら、準則とはいえ、このルールをしっかりと把握しておくことは、とっても大切ですので、ご紹介します。
要件1.資産の所有やお金のやり取りに関して、法人と経営者が明確に区分・分離されていること
要件2.財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で返済が可能であること
要件3.銀行に対し、適時適切に財務情報が開示されていること
この3要件です。
とても簡単な表現に言い換えると、「会社、私物化していませんか?」、「お金周り、ちゃんとしっかりしていますか?」、「ちゃんと計画性と振り返りができるように経理体制が組まれていますか?」ということです。
こういったことの整備を一つ一つクリアしていくゴールに、経営者保証を外すことが見えてくるというわけなのです。
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