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金融機関が企業を評価するポイント②債務者区分を理解する


「債務者区分」とは、金融機関の自己査定の過程において、借り手の財務状況、資金繰り、収益力等により、当人の返済能力を判定し、借り手を「正常先」「要注意先(要注意先はさらにその他要注意先、要管理先に区分)」「破綻懸念先」「実質破綻先」及び「破綻先」に区分されます。

債務者区分に関しては、金融庁のHPで概ね、公開されています。しかし、これらを見ても実態がよく掴めませんのでいかに詳しく解説いたします。ちなみに、新規融資を受けることが可能な債務者区分は「要注意先」までです。要管理先以下の企業に対しては原則、新規融資を禁止されています。(下記、金融庁より抜粋)

①正常先

実質債務超過になっていないこと、繰越欠損金がないこと、営業利益が2期連続で赤字でないこと、債務償還年数(借りたお金を返しきる年数)が10年以内で収まっているのであれば、おおむね正常先に該当します。

②要注意先(=その他要注意先)

要注意先は繰越欠損金が計上されており、営業利益が2期連続で赤字になっている場合や既存融資の返済を事実上延滞している企業を指します。また、債務償還年数が10~20年の場合は要注意先に該当します。条件変更をしていなければ、信用保証協会付き融資で取り扱うケースが多く、仮に繰越欠損金があっても、第三次評価(また別の記事で書きます)でランクアップする可能性もあるため、早急な決めつけによる判断はされないように注意してください。

③要管理先

要注意先と概ね同じイメージです。返済条件を変更している企業は、要管理先に該当することとなり、新規融資は受けられません。返済条件の変更とは、借入金の元本返済の停止、当初の融資期間の延長です。日本の法人・個人事業主の合計約430万社のうち、約10%が元本返済を止めていると言われています。その中の約8割が5年以内に何かしらの形で返済が困難となり、不良債権処理されるだろうと言われているのです。

④破綻懸念先

2期連続で実質債務超過になっている、実質債務超過解消年数が5年以上、債務償還年数が20年以上、融資元本および利息の支払いが6か月以上延滞している、経営改善計画書の提出を試みるが、改善が見向けられない、という企業がここに該当します。

銀行から直接「御社は破綻懸念先ですよ」と宣言されることはありませんが、ここに該当している会社は「経営改善計画書の提出が必要だ」と言われます。経営改善計画書を提出し、それが銀行から認められると、「要注意先」にランクアップできるからです。翌年以降、その提出した経営改善計画書の8割達成していると、その要注意先を維持できるのです。

したがって、銀行から経営改善計画書の提出を求められたケースの場合、その企業の実態は「破綻懸念先」であると判断できるのです。

⑤実質破綻先

法的・形式的には経営破綻はしていないが、自主廃業により営業所を廃止しているなど、実質的には営業を行っていないと認められる企業です。次項の破綻先とは、法的に破産手続きを行われているか?支払手形の不渡りが発生しているか?が異なります。

⑥破綻先

すでに営業は行われておらず、破産などの法的な鉄d気を開始していたり、手形の不渡りによって取引停止処分となっている企業のことを指します。

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