有利な銀行取引について

金融機関が企業を評価するポイント①銀行視点の決算書の見方


「金融機関担当者は決算書を読むことができる」とお思いの経営者も多いことと思いますが、実は、金融機関担当者は決算書が読めない人が少なくないそうです。「見る」ことはできるでしょう。しかしながら、そこから企業の実態を「読む」ことができないのです。

決算書とは、企業が1年を通してどのように資金調達を行い、その資金をどのように使い、どのように事業活動を行い、その結果として、企業の利益と損失がどうだったかを報告するための書類です。

金融機関担当者は、お客様からお預かりした資金を企業に貸し付けるという重大な責務を負うわけですから、本来、企業から提出された決算書を「読む」ことによって融資先の企業が過去1年でどのように事業活動を行い、今後、どのように事業活動を行うのかの把握と推測が必須となるはずです。

しかしながら、金融機関はH10年以降、バブル崩壊によって積みあがった不良債権の額を確定するために、自己査定と呼ばれる銀行格付けという基準を設けた歴史があります。不良債権をこれ以上増やさない為に、「貸したお金をいかに回収できるか、という観点において決算書を見る」という文化が出来上がってしまったのです。そのため、若い金融機関担当者は決算書を「本来の意味で読む」ことが難しくなっている、、、というのが現状なのです。

そもそも決算書を正しく読む、という文化がないのですから、その方々がいかに偏差値の高い大学を出て、読むための素養があったとしても、読む習慣がないので読めないのです。

それでも、金融機関は企業に対して決算書の提出を求めます。それは、実行後の貸出管理をしたいという理由にすぎません。

それはなにかというと、貸したお金がしっかりと返ってくる確率、逆に言うと、貸したお金が返ってこない確率を事前に認識しておきたいのです。

銀行は、常に融資先の企業の資産を査定し、適切な引当金を計上します。その自己査定の中で、融資先の貸倒の引当率に応じて「正常先」、「要注意先」、「要管理先」、「破綻懸念先」、「実質破綻先」、「破綻先」に区分します。こちらを債務者区分といいます。

こちらは銀行視点の表現となりますが、企業側から見るなら、債務者区分が優良であればあるほど、融資を受けやすいことを意味するため、自社がどの区分に該当するか・・・、が大きな関心事となっています。

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