『子どもが生まれたら学資保険』

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この言葉こそ、セールスにとってもっとも都合のよく、お客さまにも不信感を抱かれにくいトークの代表例と言えるでしょう。

私は以前、塾講師として勤務していましたから、学費を捻出することがいかに大変だということは身に染みて感じてきました。

 

そもそも学費自体が年々上昇傾向にありますし、高3の受験期から大学1年生の春にかけては、大学の受験料や受験にかかる交通費や宿泊費、入学金に前期の授業料などで100万円から200万円近い出費が一気に襲ってきます。それに、私立大学の入学金は、国立大学の合格発表より前に納めなければ無効になりますから、私立大学に進学しようがしまいが、納めなければいけません。

 

 こうした現状を間近で見てきた私だからこそ、教育費を貯めておく重要性は身に染みて理解しているつもりです。

 しかし、そんな私でも、「子どもが生まれたら学資保険」という言葉を発する保険セールスには疑問を感じざるを得ません。

 そもそも、私の周囲の信頼する保険セールスから、「自分も学資保険に入っている」という言葉を聞いたことがありません。もちろんそのセールスは、お客さまにも学資保険を提案していません。

 

つまり、学資保険代わりの商品には加入しているのですが、皆が言う、“いわゆる”学資保険には誰も加入していませんし、お客さまに提案してもいません。

 

 一体どういうことなのか、その前に学資保険の基本からお話しましょう。

 

初めに、「学資保険」は商品の名称であって保険の種類ではありません。保険の種類は「定期・養老・終身」しかありませんでしたが、学資保険の正体は、ほとんどが「養老保険」です。

 養老保険とは

・一定期間の保険(学資保険として販売する場合は、保険期間を子どもが18歳になる時期を設定する場合が多い)

・保険期間終了時には、死亡保険金と同額の満期金が支給される

という特徴をもった保険。

 

 この保険に、「お祝い金」や「医療保険」のようなオプションを付けて販売しているケースがほとんどでしょう。(すべてではありませんが。)

 私は、このオプションについても苦言を呈したいところですが、議論が散漫になりますので、学資保険における最大の問題点を指摘おきましょう。

 

 それは、

 多くの学資保険が、保険会社に支払う金額よりも、もらえる金額の方が少ないということです。これは多くの方が驚かれます。学資保険は、子どものために毎月積み立てるために加入するものですが、現実は損失を生んでいるケースがよくあるのです。

私は実際に、50万円近い損失を生む学資保険を見たことがあります。

 

このような事態が起こる原因はやはり、値札の不在によるものでしょう。学資保険にいくら支払い、いくらもらえるのか知らされていない結果によるものです。

 

なぜか生命保険となった瞬間に「いくら支払って、いくらのリターンがあるのか」を計算しなくなってしまうその国民性に付け込んで、セールスが「子どもが生まれたお祝いに」などのトークで、実際はお客さまに損失を与える学資保険を販売しているのです。

 

計算方法もいたって簡単です。毎月の保険料に×12カ月×18年したものと、子どもが18歳になった時に受け取れる金額を比較するだけです。こんなに簡単でシンプルな作業で判明するにも関わらず、多くの方がそれに気づいていないのです。

 

 せっかくなので、計算してみましょう。

 ・月々の保険料 12,000円

 ・子どもが18歳時に受け取る金額が200万円

としましょう。ほとんどの学資保険が、200万円の金額設定になっています。

 

 もちろんこの金額は特定の保険会社のものではありませんが、みなさん大体これくらい支払っていらっしゃいます。

 では、実際に計算してみましょう。

12,000×12カ月×18年=2,160,000円

 この例ですと、支払い総額216万円に対して、受け取れる金額は200万円。これでは16万円の損失だと分かります。

 

 学資保険で損しているかどうかは、たったこれだけの計算で分かってしまうのです。

 

 こんなこと言うと、「学資保険には貯蓄以外の機能もついていることをあなたは知らないのか!」などとを言う保険セールスも多いでしょう。

 そもそも、お祝い金や医療保障といった貯蓄以外の機能を学資保険につける必要性がどこにあるのか私には分かりません。そんなことよりも、私の経験上、お客さまは「学資保険がマイナスになる」ことに落胆されています。

 

オプションは、お客さま自身が理解し納得しているのであれば、何の問題もありません。

 

しかし、お客さまが加入している保険を理解し、納得しているとしたら、私が見てきたお客さまの「落胆」はどう考えても説明つかないのです。

 

 設計が滅茶苦茶なのは、金額だけではありません。設定すらもおかしいと感じることが多々あります。

例えば満期金を受け取る時期が18歳ではなく22歳に設定されていたりすることもあるのです。

 

 22歳といえば大学卒業です。そんな時期に満期金を受け取ったとしても、意味がないとまでは言いませんが、お客さまが「本当に必要としていた時期」と一致しているのでしょうか。そしてその学資保険がさらに目減りしていたとしたら、お客さまのことを考えた保険設計と言えるでしょうか。

 

 「あれ、私の学資保険はどうなっているのだろう」と思われた方は、簡単に計算できますから、やってみてください。ちなみに、見切りをつけるのは早ければ早いほど損失が小さく済む場合が多いですので、早急に手を打たれることをおすすめします。

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